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年金資金運用基金

200331

宇佐美 保

先週22日(土)の「パックイン・ジャーナル」(朝日ニュースター)にて、経済評論家と名乗る紺谷典子氏が、“今の日本の年金や、保険は問題ないのに、小泉首相は不必要な不安感をあおっている┄┄ 云々と発言していました。

 

次に掲げるような、年金資金運用基金や、厚生労働省のホームページを見ても、このインチキ経済評論家は、このような発言をするのでしょうか?

先ずは、「年金資金運用基金」は何であるかを次表に抜粋します。

:1 年金資金運用基金の概要

名称

年金資金運用基金

設立

平成13年4月1日

住所

東京都千代田区霞が関1−4−1

資本金

1兆148億円(全額政府出資) <平成14年3月31日現在>

主管省庁

厚生労働省(年金局 資金管理課・運用指導課)

目的

年金資金運用基金は、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づき 厚生労働大臣から寄託された資金をこれらの法律に基づいて厚生労働大 臣が定める基本方針に沿って管理及び運用を行うとともに、その収益を 国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営 の安定に資することを目的とする。

ここに掲げられた「年金資金運用基金」の目的通りに、私たちの貴重なお金は運用されているのでしょうか?

 

 ところが、厚生労働省のホームページに見られる、「第8回社会保障審議会年金資金運用分科会資料」による、“平成13年度 年金積立金及び年金資金運用基金の運用資産の運用結果”には、次表のような数字が掲載されています。

表:2 年金資金運用基金の運用資金

旧年金福祉から承継した類型利益損

17000億円

13年度単年度損失合計

13100億円

累計損失合計額

3100億円

 

 「年金資金運用基金」のホームページを見ると、こんなにも赤字を出しながら、ここの役員たちは、次のような高額なお金を分抱くっているのです。

:3 役員の給与等と退職金(平成14年12月1日現在)

給与の種類

支 給 基 準

(1)俸給

俸給月額
   理事長      1,106,000円 
   理  事        901,000円 
   監事(非常勤)   513,000円 

(2)特別調整手当

 俸給月額×0.12

(3)特別手当

 [(俸給月額+特別調整手当月額)+(俸給月額×0.25)
 +{(俸給月額+特別調整手当月額)×0.2}]×支給割合(※)

※)支給割合:年3.50月(平成14年度)

退職手当:退職の日における俸給月額 × 0.28 × 在職期間(月数)

 

 このややこしい表から、理事長の年収を計算して見ますと、俸給と特別調整手当てから、年間:1,486万円を、特別手当で、584万円をぶんどって、これらを合わせて年間:2,070万円を手にするようです。

その上、彼らが5年間その地位にしがみ付くと、給与分:2070×51350万円

退職金で、1,858万円、これらを合算して、11928万円を我々からブンダクリます。

 

 そしてこのとんでもない方々は、案の定「天下り」の「税金泥棒ねずみ」の仲間たちなのです。

:4 役員たちの経歴

役職名

任 期

経 歴

理事長

平成14年12月10日
〜平成17年3月31日

昭和41年3月 京都大学法学部卒業
昭和41年4月 厚生省入省
平成13年1月 厚生労働事務次官
平成14年8月 同辞職
平成14年9月 厚生労働省顧問
平成14年12月 同辞職

理 事

平成13年7月1日
〜平成15年3月31日

昭和43年3月 東京大学法学部卒業
昭和43年4月 厚生省入省
平成11年7月 環境庁長官官房長
平成13年1月 同辞職
平成13年4月 年金資金運用基金監事
平成13年6月 同辞職

理 事

平成14年6月21日
〜平成15年3月31日

昭和46年3月 一橋大学社会学部卒業
平成46年4月 日本興業銀行入行
平成12年6月 同常任監査役
平成14年4月 みずほフィナンシャルグループ理事
平成14年6月 同辞職

監 事
(非常勤)

平成13年7月1日
〜平成15年3月31日

昭和44年6月 東京大学法学部卒業
昭和44年7月 厚生省入省
平成6年9月 九州地方医務局長
平成8年7月 同辞職
平成8年7月 農業者年金基金理事
平成11年9月 同辞職
平成11年9月 日本船員福利雇用促進センター常務理事
平成14年3月 同辞職
平成14年4月 全国ビルメンテナンス協会顧問
平成14年7月 全国ビルメンテナンス協会専務理事(兼)

 

 こんな状態で“年金保険が心配ない”という紺谷氏はどんな神経をしているのでしょうか?

これでは、小泉首相の言うように、先ずは「構造改革」が必要ではありませんか!

 

(補足:38日)

ここに書きましたように、とんでもない資金運用をやっている、「年金資金」に対して、38日の朝日新聞朝刊には、次のような記事が載っていました。

(私が赤文字に変換した箇所だけでも、ご覧ください)

年金資金の株式運用継続

厚労省、年金資金の株式運用継続へ 分科会意見書案

巨額の損失を出している公的年金積立金の株式運用について、厚生労働省の社会保障審議会年金資金運用分科会は7日、今後も株式投資を続けることが妥当とする意見書案をまとめた。今後の課題として、04年の制度改革に合わせた投資配分や運用指標の見直しをあげた。これを受けて同省は特殊法人「年金資金運用基金」を通じた株式の運用を継続する方針だ。

 意見書案は、市場運用による収益のぶれを防ぐためには投資対象をできるだけ多くする長期分散投資が基本とし、「株式と債券を組み合わせた運用が妥当」とした。全額を国債運用に切り替えた場合、賃金や物価が上昇する局面では収益の確保が難しく、年金給付の増大に追いつかないことや、金利動向によっては損失が生じる可能性を指摘し、「債券保有割合を高めることが必ずしも安全性を高めることにならない」とした。

 ただ、一部の委員からは「株式市場や経済に対する国民の心配にていねいに答える視点が欠落している」との指摘が出た。運用責任の所在に関する意見もあったが「運用にリスクが伴うのは仕方ないことで、結果責任は問わないのが常識。ルールの明確化や情報開示で対応すべきだ」(若杉敬明・分科会長)との見解が示されるにとどまった

 現在約150兆円ある厚生年金などの積立金は、政府の財政融資資金や財投債での運用以外に、年金資金運用基金が30兆円弱を市場で自主運用している。02年9月末現在で、国内株式には7兆円程度の年金資金が投入されており、全額が自主運用となる08年度では国内債券に68%、国内株式に12%が配分される計画だ

 90年代以降市場が低迷する中で、自主運用は元本割れが続いており、01年度の累積損失は約3兆円、02年度に入っても半年で約2兆円の巨額損失が発生している。年金資金の株式運用は、01年末に閣議決定した特殊法人等整理合理化計画で、04年の制度改革までに運用のあり方の再検討が求められていた。

 資金運用の結果責任が問われもせずに高給をブンダクル天下りの役人が、何故必要なのですか?

どうせ株での運用で赤字を出すなら、竹中失言で有名となった「株価指数連動型上場投資信託(ETF)」を購入していれば、(更には、国内債券を買うだけなら)特殊法人「年金資金運用基金」の全職員は数人で済みます。

 

返還される見込みの無いような「国内債券」に68%も振り向けるのも大問題です。

いっその事、運用なんかしない方が良いと思います。

さすれば、「公的年金積立金の運用」での赤字はゼロになりますし、特殊法人「年金資金運用基金」の職員は一人も要らなくなります。

 

 (「公的年金積立金」をすべて銀行に預金してしまうシステムとするのです。

勿論、その前に、今のいい加減な銀行の改善が急務です。)

 

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